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AI時代のSaaS競争——LINE HarnessとLステップから見えてくること

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配信100回目を迎えました。いつも聞いてくださる皆さん、本当にありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。
さて今回は、最近話題の「LINE Harness」と「Lステップ」を深掘りしながら、AIがSaaS業界にどんな変化をもたらすのかについて考えてみたいと思います。

Lステップとは何か

公式LINEを運用する際、標準の管理画面だけでは機能が限られています。より高度な機能——自動返信の分岐設定やセグメント配信など——を使いたい場合、LINE APIと連携した独自開発が必要でした。

その開発の手間を省いてくれるのが、LステップやELMEといったサービスです。LINE公式アカウントとAPIを連携し、標準機能では実現できない拡張機能を提供しています。多くの企業や店舗、そしてLINE運用を請け負う業者がLステップを活用しています。

LINE Harnessの登場

そこに登場したのが「LINE Harness」です。野田修一さんが開発したオープンソースのツールで、Lステップが有料で提供している機能を、誰でも無料で使えるようにしたものです。

厳密には完全無料ではなく、使用するサーバーのストレージが10GBを超えると従量課金が発生しますが、それまでは実質無料で運用できます。このLINE Harnessの登場は大きな話題を呼びました。LINE運用の担当者やAI領域の著名人からも「Lステップの代替になる」と多くの人が発信しています。

Lステップが緊急でAPI連携を開放した背景

その一方でLINE Harnessが注目を集めた直後、LステップはAPI連携機能を急遽開放しました。

これには理由があると思っています。Lステップの契約者には、クライアントの公式LINE構築を請け負う業者が多く含まれています。そうした業者がオープンソースの使い方を習得してしまえば、Lステップを使わなくなる可能性がある——その危機感が、緊急対応につながったのではないでしょうか。

LINE HarnessはLステップの「完全な代替」になるか——結論から言うと、しばらくは代替にはならないと思っています。

Lステップはすでに完成度の高いシステムを持ち、大手企業での導入実績もあります。一方LINE Harnessは、実際に安定運用できている事例がまだ少なく、信頼性という面では差があります。

公式LINEを本格運用するなら、実績のあるLステップの方が安心——そう判断する企業は多いはずです。

「代替の可能性」があることによる影響

とはいえ、完全な代替でなくても、代替の可能性があるだけで市場は動きます。

これはインターネットの歴史を振り返っても同じです。GoogleもLINEも、長年使われ続けることで機能が増え、システムが複雑化し、代替が難しい存在になりました。代替サービスが生まれにくいからこそ、企業の機能開発のモチベーションが薄れ、消費者は機能に不満を持ちつつ、ただ高い月額料金を払うしかない状況が生まれてしまいます。

しかしそこに「安く使える代替の可能性」が現れると、既存サービスは黙っていられなくなります。今回のLステップのAPI開放はまさにその動きです。つまりAIやオープンソースによる代替の登場は、既存サービスの品質向上を促す圧力になるのです。

新たなビジネスチャンスはどこにあるか

もう一つ重要な視点があります。それは「既存サービスには機能が多すぎる」問題です。

長年運用されてきたSaaSは機能が肥大化しがちで、小規模な事業者にとっては「使わない機能にお金を払っている」状態になりがちです。

そこにチャンスがあります。AIを活用してシンプルな機能に絞ったツールを安く提供する——これが新たな価値になります。大手サービスは既存のシステム規模があるため月額を下げにくい。しかしスモールスタートなら、必要な機能だけを低コストで提供できます。
完全な代替は難しくても、特定のニーズに特化したサービスとして十分勝負できるのです。

まとめ

LINE HarnessとLステップの動きから見えてきたのは、次の3点です。

AIやオープンソースによって、既存SaaSの代替可能性が生まれつつある。

それが既存サービスの機能改善・競争力向上を促す。

そして「機能を絞って安く提供する」という新しいビジネスモデルのチャンスが広がっている。

AIの恩恵は、新しいサービスを作ることだけでなく、既存サービスの質を底上げするところにも現れています。少しでも参考になれば嬉しいです。それでは、素敵な一日をお過ごしください。​​​​​​​​​​​​​​​​