箕輪厚介著「死ぬこと以外かすり傷」を読了しました。本文中でも述べられている通り、この本は箕輪さんの人生の一瞬を切り取ったもので、文体も口語が多く、サクッと読みやすい本です。また、編集者の仕事内容(というより箕輪さんの仕事内容)に触れることができ、「この人編集という仕事に狂っているな」というのが分かります。以下は、僕が本書を読みながら思ったことをまとめた書評になります。
箕輪さんが魅力に感じる編集の仕事
p6 l8 編集者は最強だと感じる3つの理由:①才能カクテルが飲み放題 ②ストーリーを作れる ③人の感情に対する嗅覚を磨ける
編集とは、「取材(インタビュー)する」→「どのストーリーに載せるか考えて内容を整理する」→「マスに刺さる表現方法で仕上げる」であることが伺える。今、対談企画(https://kenfee.com/talk/ )で10人にインタビューしてきたことを踏まえると、実は編集という仕事の一部をこなしていたのかもしれない。
変化し続ける種が生き残る
p17 l3 すべてのルールが変わる中で強いのは、新しいことを受け入れ、変化を楽しめる人間だ。
ダーウィンの進化論でも「変化し続ける種が生き残る」という。日頃から年下をリスペクトしながら、常に価値観をアップデートさせながら生きていきたい。
先人が切り開いた道をあえて外れる
p29 l16 誰かが作った道を踏み外す。カオスにこそ、まだ観ぬ景色があるのだ。
予定調和は、先行者が作った道(レール)上しか歩けない。何者かになりたければ、先行者の作ったレールではなく、別のレールを自ら敷かなければならず、そのためには「自らトラブルに身を投げる」のもありだという。
自分が熱狂できるかどうか
p33 l14 思いっきりバットを振れば、熱狂は伝播する。
どんなバカげた企画でも、本人がフルスイングすれば、早かれ遅かれ熱狂は伝わる。でも逆に途中で冷めると熱狂は伝わらない。熱源がいかに高音を保っていられるかが鍵。
箕輪さんの熱狂的仕事術
p35 l9 20時間近くある取材テープを通勤電車など時間があればとにかく聞き込んだ。
インタビューの音声をひたすら聴き込む姿勢はほとんどの人にとっては真似できないだろうけど、それぐらいにまでがむしゃらにならないと、他のものより良いものはできない。経験が浅ければ浅いほど、特に熱狂度合いが重要なのだと思う。
3回従順を繰り返すともう戻れない
p40 l13 沈黙した瞬間、敗北が始まる。社畜化への一本道を転がり落ちる。
沈黙は思考停止の始まり。「問題意識」を持っていてもアウトプットがないと、意識も薄れていくだけだから、「不満」に思うことがあれば積極的に「対応策」も含めて周りに投げかけていきたい。
堀江さんの「ありのまま」感
p44 l12 ホリエモンが誰かに常識を押し付けているところを見たことがなかった。
堀江さんの講演会を前の方で聴いたことがあるけれど、本当に「ありのまま」という感じだった。講演会の直前まで予定があって、ギリギリに到着して、指定された場所に向かって、NewsPicks編集長の佐々木さんと話して、次の予定があるから早めに切り上げて退席する・・。参加していた人の方が「特別感」を演出していたのではないかと思うほどだった。
内面的な意識は後に大きく響く
p48 l3 実力もなく、世の中に対して何もできないときから、「その他大勢にだけはなりたくない」という気持ちだけはあった。
内面的な意識は後から付けることができないけど、実力が伴わないうちはイタイやつだと思われる。でも行動して、チカラを付けていったあとに、アクセルを踏んでくれるのは間違いなく、そういう意識的な部分だと思う。
p54 l7 僕が編集者をこのスタイルのままで続けるためには自分の手で毎月あと20万円は稼がないと成立しない、選択の余地は元々ない。そう腹を括った瞬間、何かが変わった。
これも前田裕二さんのいう「制約の理論」だろう。「成長したい」「英語が話せるようになりたい」「お金を稼ぎたい」など、◯◯したいではなく、「気になるコミュニティに所属して活動する」「英語を教える」「東京の一等地に引っ越す」といったように、いかに自分を制約下に置くかを考えた方が効率がいい。
知っているだけで先端にいる
p59 l1 「知っている」と「知らない」の間にとてつもなく太い川が流れているのだ。
スマホという小宇宙のなかで分断される世界。その中で何かを知ろうとするには「好奇心」が必要で、そのためには3歳児レースに残り続ける必要がある。(あっ本の内容が繋がってきた)
環境は自分で築き上げるもの
p61 l10 恵まれた環境は与えられるものだと思っているような人間は一瞬にして返り討ちにあうだろう。
会社の中で成果を上げて、プライベートな時間で暴れられる体勢を作り上げている人の方がこれから強くなっていく気がする。箕輪さんは「副業とは会社で成果を上げて、それによって個人で引き受ける仕事」だと定義されているけれど、僕は会社の仕事とプライベートでのプロジェクトが同じでも異なっていてもいいと思う。やりたいことなんて1つに絞る必要はないから。ただその代わり、会社の中でコンスタントに成果を上げておく必要がある。
人の巻き込み方
p65 l12 自己満足では人も会社も動かない。
p67 l8 生意気な人間には誰も協力しない。ゆしろ反感を買う。
副業で別のプロジェクトに関わることは会社にとっては社員の労働力を奪われるも当然のことである。だからこそ、利益(メリット)と謙虚さを示さないと行きづらくなって、結局本業も副業も行き詰まってしまうだろう。人には利益を、自分はひたすら汗をかく。持ちつ持たれつの関係が長いスパンで見て一番コスパがいい。
5G時代の「移動」
p70 l1 移動中でもどこでも仕事ができるのであれば、そもそも「移動」という概念自体がなくなる。
5GによってSkypeも遅延なくビデオ通話ができるようになれば、スケジュール帳の「移動」が「会議」になるし、自動運転によって家と車の境目がなくなれば、今以上にミニマリストは増えていくと思う。個人的には全国いろんなところでプロジェクトを進められるワークスタイルがいいなぁ。
箕輪さんの地道な圧倒的努力
p73 l2 締め切り前になると朝3時ごろに会社に出かけ、たった一人しかいないフロアで必死にゲラに赤字を入れている。
うまくいっている人はみんな「地道な圧倒的努力」をしている。
覚悟の示し方
p79 l10 サラリーマンであっても、個人としての覚悟を示すからこそ相手が信用してくれる。
覚悟を示すとは、会社や上司の顔を伺って物事を決めず、自分の頭で考えて決断し、辻褄を合わせることだ!
人検索の時代の仕事の取り方
p85 l12 イベントを上手に仕切る人などいくらでもいる。この人にプロデュースしてほしいという存在にならなければ意味がない。
実力がある人は年々増えていく。経験を積めばある程度まで実力がつけられるからだ。しかし、西野さんの「味やサービスでハズレがなくなってきて、1000円払えば美味しいものが食べれる今の世の中では人検索にシフトしていく」という言葉通り、実力の優越ではなく、この人にお願いしたいと思ってもらえるようにならないといけない。そのためにはプロジェクトが終わったあとに、人に話せるようにしておく必要がある。
実績の伴わない言葉には誰も耳を貸さない
p89 l6 誰も言わないことを言えるようになるために、誰もやっていないことに挑戦し、誰もしていない経験をし、誰も成しえてない実績を作らなければならないのだ。
SNSで発言して破局すると、それ以降発言する言葉の重みが軽くなる。SNSは気軽に投稿できる分、嘘を重ねてしまいやすい。だからこそ、言葉や文字の裏には行動が担保されている必要がある。
アクセルとブレーキ。両方あって車は前に進める。
p92 l4 これ絶対おもしろいからやりたい!と言う無邪気な人間と、でもそれって儲かるの?と言う冷静な人間の二つがいて、現実のプロジェクトは進み始める。
アクセルを踏む人とブレーキをかける人。アクセルを踏む人だけだと、加速しすぎて空中分解してしまうかもしれない。ブレーキをかける人だけだと前に進まない。
編集者は誰でも始められる?!
p102 l6 編集者なんて資格も何もない
よく考えてみれば、対談企画と称して、インタビュー記事を書いている時点で、編集者だなぁ。→https://kenfee.com/talk/
スピード相場は気にしなくてもいい
p106 l11 長い間そうやってきたという理由だけで踏襲されている「スピード相場」
ガントチャート(マスタースケジュール)を立てるとき、これまでの慣習で決めるのではなく、作業内容で決めていく。すると必然的に無駄な時間が割けなくなり、行動も変わらざるを得ない
ソフトバンク白戸家CMの衝撃事実
p107 l11 「ソフトバンクの犬のお父さんのCMは納品までの時間があまりにもなかったから、タレントではなく犬を使うしかなかった」と。
これは衝撃の事実だったけど、制約がイノベーションを産む最たる例なのかもしれない
いかに自分を制約下において能力爆発を起こさせるか
p110 l11 どうにか乗り越えられる量ではだめだ。それでは能力爆発は起こらない。
自分を制約下に置くことを考えても、自分に甘いのが人間だ。だから圧倒的量で負荷をかける。進化は危機からやってくる。
企画を打ち切りにする勇気
p114 l17 そもそも誰か一人が熱狂していない企画などうまくいかない。消えていく運命に在るのだ。
思いついても自然消滅している企画などたくさんある。走り出していたとしても、見切りをつけて辞めることも必要だろう
トップの裏に隠された尋常でない努力
p118 l4 あらゆることを手掛けてなんでもやさんに見えるような人でも、トップに居続ける人は地味なことで誰よりもやり続けている。
YouTuberのHIKAKINさんも、堀江貴文さんも、前田祐二さんも、今話題に上がるような人は、みんな地味な努力を努力と思わずに誰よりもこなしている。
日本とインドの人間関係の考え方
p128 l2 好きな言葉がある。「日本では『みんなちゃんとしているのだから、あなたもちゃんとしなさい』と子供に注意し、インドでは『あなたもダメなのだから、人のダメなところも許しなさい』と諭す」
自分のダメなところが露呈したときに、前者の考え方だと「非難される」と思ってしまって動けなくなってしまう人もいるだろうけど、後者の考え方なら「今謝ろう」「今ミスを取り返そう」と次の行動につながって、みんな気持ちよく仕事ができると思う。
まずアクションしてみる
p129 l13 全てを見せて嫌われるなら、それまでだ。大丈夫、完璧な人間なんてどこにもいない。
どんなアクションでも「あの人に悪く思われないかな」「これをしたら悪く思われないかな」とかマイナスに考えるより、自分が良いと思ったことを実践して、間違いがあれば次に活かせばいい。
相手の心を開く
p131 l14 「こいつ、自分のことを誰よりも分かっている」と相手に確信させる言葉を吐くことができれば、道は開ける。
人は誰でも自分のことを話したい。だからこそ、「覚えてもらった」「知っていてくれた」というのは誰にとっても嬉しいことだと思うし、その人のことを大切にしようとするだろう。自分のことを売り込む前に、他の人に興味を持つことは最低限必要なのかもしれない。
自分の最善をアップデートせよ
p137 l10 結果が出ないいい人より、強引にでも結果を出す変態に仕事は集まる。
人の顔色を伺うより、自分が良いと判断したものを実践に移して、結果的にその人のためになる方がいい。
熱狂的な仕事のポイント
p141 l11 僕はただ自分が読みたい本を作るだけだ。
僕がイベントのステージをオーガナイズするようになってからも、「自分が観たいステージ」を企画するようにしている。その方が、あとから何を言われても満足できるし、集客へのモチベーションにもなる。
数字をいかにデザインするか
p147 l10 好き勝手に暴れるためのベースは計画的に着々と作ってきたのだ。
世の中「新しいモノ」は怪しまれて、誰も寄ってこないし、誰も関わろうとしない。(それでも関わってくれる人は財産だ)多くの人を巻き込むためにも、数字は必要で、「好きなことをやる」「やりたいことをやる」からといって数字から逃げることはダブーだ。
シビレエイが相手をしびれさせる理由
p151 l4 なぜシビレエイが相手をしびれさせることができるのか。それはシビレエイ自身がしびれているからだ。
自分が熱狂していないものを伝えても、誰も熱狂しない。「熱狂」と「伝える場」が必要。
人から価値観を吸収する
p151 l12 どんな読者よりも著者のエッセンスを吸収し僕自身をアップデートしていく。
僕がやっている「対談企画」でも、対談を収録して、文字起こしして編集すると、その人の価値観に入り込むので、自分の価値観もどんどんアップデートされていくから、これからも対談企画は続けたいし、いろんな人と出逢いたい。価値観が古くなって時代と合わなくなるのが一番嫌なので。
何のためにそれをしているのか?
p153 l6 僕は評論家や同業者から評価されるために本を作っているわけではない。
p155 l12 この本で意識が変わる、見方が変わる、行動が変わる。これらの体験までデザインすることが重要だ。
同業他者からの評価は結局「敷かれたレール上の徒競走」になりかねない。西野さんも言っているけれど、何者かになりたければ、敷かれたレールとは別のレールを作って走ることが必要だ。
いろんな生き方がある
p159 l15 水と油のようにどんなにかき混ぜても世間と混ざり合わない異物を世に出して「いろんな生き方」があるんだな、と思ってもらえればそれでいい。
「いろんな生き方があるのを知ってもらえたらそれでいい」というのは僕の「対談企画」のコンセプトと似ている。
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