
今回は、車の稼働率が数%しかないという課題についてお話ししてみたいと思います。
車はほとんど止まっている
日本だけでなく世界中で、乗用車の稼働率は数パーセントしかないと言われています。つまりほとんどの車が、駐車場に止まったままの状態です。
また地方では「車がないと生活できない」と言われますが、それほど必需品であるにもかかわらず、稼働率が5%にも満たない。新車なら200〜300万円、中古でも数十万円かかる高額な資産が、ほぼ使われていない状態で置かれている——これはかなりの矛盾です。
スマートフォンは5〜20万円でも毎日フル活用されているのに、それ以上のコストをかけた車がこれほど眠っているのは、もったいないと思いませんか。
世界では稼働率を上げる動きがあるのに・・
こうした問題意識から、世界では様々な取り組みが生まれています。ライドシェアや相乗り通勤の普及、電気自動車のバッテリーを家庭の電源として活用するV2H(Vehicle to Home)などがその例です。
コストを払っているなら、そこから得られる価値を最大化する。それが実質的な節約につながります。
ただ日本では、ライドシェアの法整備はまだ不十分で、電気自動車の活用インフラも整っていません。稼働率を上げる取り組みという意味では、世界に比べて遅れているのが現状です。
乗用車を「モバイルオフィス」として使う
そこで注目したいのが、モバイルオフィスという発想です。
調べてみると、モバイルオフィスのほとんどは最初から仕事用に改造された車や、専用車両を使うケースばかりでした。
自分の乗用車をそのまま仕事場として活用するという事例はまだほとんどありません。カーシェアをコワーキングスペースとして使う試みは増えてきていますが、自家用車を日常的なオフィスとして使う発想は、まだ根付いていないのが実情です。
乗用車を作業空間として使うことには、思った以上のメリットがあります。
環境が変わることで集中力が回復する
——自宅やオフィスとは異なる空間に身を置くだけで、ドーパミンが分泌され、気持ちの切り替えが起きやすくなります。
物理的なスイッチの効果
——「車の中ではこのタスクをこなす」「自宅ではこの業務をする」と明確に切り分けることで、余計なタスクに振り回されるリスクが減ります。場所と仕事を紐づけることで、集中のスイッチが入りやすくなるのです。
実際に取り入れてみて感じるのは、深いクリエイティブ作業や高い集中を要する仕事には向かないものの、ちょっとした事務作業や軽めのタスクなら、車の中の方がはかどるケースがあるということです。
稼働率ではなく「価値」を高める
厳密に言うと、モバイルオフィスとして使っている時間は車が止まっているため、稼働率の数字自体は上がりません。
ただ、「ただ駐車場に止めているだけ」なのか、「別の用途で活用している」のかによって、払っているコストに対する価値の感じ方はまったく変わります。車を持つことへの満足度や納得感が、大きく違ってくるはずです。
しかし車をオフィスとして使うには、クラウド化やリモートワーク環境の整備が前提になります。つまりデジタルを活用していないと、そもそもこの発想には至れません。
さらに将来的には、Starlinkのような衛星通信によって山奥でもインターネットに繋がる時代が来ます。そうなれば「どこでも行けて、どこでも仕事できる」という車の新しい価値が生まれます。
車の稼働率が低い今だからこそ、デジタルと組み合わせることで車の価値を最大化する——これが一つの現実的な答えになるのではないかと思っています。まだ実験中の段階ですが、引き続き試しながら結果をお伝えしていきます。少しでも参考になれば嬉しいです。